介護現場の業務改善は誰のため?|利用者主体で考える改善と見直し 

介護の本質

はじめに

みなさんは、業務改善は誰のために行われると思いますか。

「利用者のため」

多くの介護職がそう答えるでしょう。

しかし実際には、職員が働きやすくなることばかりに目が向き、利用者の生活が後回しになってしまうこともあります。

本来、利用者主体の業務改善とはどのようなものなのでしょうか。

今回は、介護現場で大切にしたい「業務改善の考え方」について考えていきます。

業務改善は必要

介護現場では状況が目まぐるしく変わります。

・新規利用者の対応

・利用者の状態の変化

・職員の入職や退職、異動による人数の変化

など短期間で起こることも珍しくありません。

これらのことが起きた場合はその都度、業務内容の見直しをすることが大事です。

特に介護現場は人手不足の事業所も多いため、利用者の安全を意識しながら業務効率を上げる必要があります。

業務改善は必要です。しかし、その判断基準を誤ると、利用者の生活に大きな影響を与えてしまうことがあります。 


命に関わる改善は早急に行う

業務の中で特に利用者の命や健康に関わることは最優先に改善する必要があります。

・嚥下状態が低下した方の食事形態の変更

・足腰が弱くなった方の転倒防止対策

・健康状態が悪化した方の医療的ケアの検討

これらの改善のために業務を見直すことは遅すぎるということはありません。

私自身も対応が後手になってしまい、事故につながってしまった経験があります。

ある利用者の足の運びが悪くなっていたことがありました。

杖を使用していましたが、なんとか歩けているので、「もう少し様子をみても大丈夫だろう」と判断していました

ところがある日、その利用者が転倒してしまいました。

幸い、打撲だけで済み、大事には至りませんでした。

もっと早く、歩行器の検討や歩行器の付き添いなど対策をうっていれば防げた事故です。

その場合は職員のスケジュールの変更もありえますが、そこも踏まえて事前に手をうっておけばと深く反省した出来事でした。

繰り返しになりますが利用者の命にかかわることで遅すぎる見直しはありません。

いち早く危険性を察知し、業務改善することが大事です。


生活に関わる改善は慎重に

高齢者にとってのストレスの一つが生活のリズムが変わることです。

そのため、利用者の生活に関わることは慎重に検討する必要があります。

例えば

・入浴の曜日や時間

・食事の提供時間

・オムツ交換の時間

・食事の席の変更

・居室の変更

などが挙げられます。

食事の席の変更を例に挙げると

・仲の良かった利用者と別々の席になってしまった。

・エアコンの風が直接当たるようになった。

などのストレスの要因が出てきます。

これらは業務の改善のためには必要な場面もあります。

しかし、それらのことがその利用者に負担を与えていないかを事前に考えることが大事です。


積極的に進めるべき改善は?

利用者の生活の質を上げるための改善は、積極的に進めていくことが大事です。

・今はオムツだが立位が取れるようになってきたのでトイレ誘導を検討する。

・スケジュールを見直し、個別の機能訓練の時間を取り入れる。

・隙間の時間を使い、利用者を散歩に連れていく。

このように利用者側から見て利点が多いことに関しては、すみやかに改善していくことが大切だと感じます。

そのことが利用者の満足度の向上や職員のやりがいにもつながっていきます。


職員だけが恩恵を受ける改善になっていないか?

業務改善をするにあたり重要なこと。

それは、職員だけが恩恵を受け、利用者が置いてけぼりになっていないか、ということに尽きると思います。

・業務スケジュールは動きやすさだけで決めていないか?

・人員配置のことばかり考えていないか?

・一度にやった方が都合がいいからと業務をまとめていないか?

このような考えは、必ずしも間違っているとはいえません。

しかし、一度立ち止まり

「利用者のメリットは?」

と考えて改善していくことが大事です。


業務改善にも説明と同意が大切

業務改善でもっとも重要なこと。それは、

「利用者への説明と同意」

に尽きると思います。

当たり前のように思われるかもしれませんが、時に介護現場では、利用者の意向を確認しないまま、業務の調整が行われることがあります。

「説明と同意」は書類のやり取りだけで使われる言葉ではないと私は思います。

例えば入浴の時間の変更一つでも、利用者は

「この時間はいつも見ているテレビがあったのに・・・」

「ご飯を食べて時間を置いてからでないと体の調子が悪くなる」

など、ストレスを感じてしまいます。

事前に十分な説明をすれば、納得されるかもしれませんし、違う方法を検討する余地も出てきます。

このようなやり取りの積み重ねが利用者と職員との信頼関係の構築にもつながるのだと思います。


食事時間の変更が利用者に影響を与えた話

ここで、経験談を一つ書きたいと思います。

ある施設で働いていた時のことです。

夕方から夜間にかけて職員が少なくなるため、スケジュールを見直し、食事の時間を通常より30分早く提供するようにしました。

その結果、職員の動き自体はスムーズになり、夕食から就寝介助までの時間が早く終わるようになりました。

私を含め職員はそのことは「改善した」と感じていましたが、入居者は違いました。

夕食が早まったことで、翌日までの朝食の時間までが長くなり、夜間帯に空腹を訴えられる入居者がおられました。

また、就寝介助も早くなったことで必然的に入眠時間が徐々に早くなり、早朝覚醒する入居者もでてきたのです。

このようなことがあり、改めて業務を見直し、元の体制に戻したことがあります。

夕食の提供時間一つでもこれだけの影響を与えてしまいました。

事前にそのことを予測できなかったことをとても悔やんだことを覚えています。


改善の先にあるものは?

業務改善は職員のためだけに行うものではありません。

改善によって生まれた時間や余裕は、利用者へ還元されてこそ意味があります。

介護施設は職場である前に、利用者が生活する場所です。

業務改善を考える時こそ、この視点を忘れないようにしたいものです。


まとめ

ここまで業務の改善が利用者に与える影響について解説してきました。

・業務改善は必要不可欠

・生活のリズムに関わることは慎重に

・利用者の生活の質の向上に関わることは積極的に

・説明と同意はここでも大事に

・改善の先にあるものを見通すことが大事

業務改善自体は、利用者の目線になって進めていくことが大事です。

「業務の改善」を行った先に利用者の生活の質が向上するのか?

このことを考えながら利用者の過ごしやすい環境を作っていきましょう。

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