介護記録はなぜ書けない?|現場でよくある原因と書き方のポイント

人材育成

はじめに

「介護記録をうまく書けない」
「記録したくても時間が取れない」

介護現場で働く人は一度は介護記録の仕方で悩んだことがあるのではないでしょうか?
特に新人介護士が最初につまずきやすい業務の一つが介護記録です。
今回は介護記録が書けない原因と、現場で実践できる書き方のポイントを解説します。

なぜ介護記録が書けない?

文章を書くスキルの問題

 単に文章を書くことに苦手意識がある職員も少なくありません。
私の経験では、パソコンや文章作成に慣れていない職員ほど苦手意識を持つ傾向がありました。
普段はよく利用者とコミュニケーションをとっている人でも、いざ文章を書くとなると、何を書いていいか分からないといったことがみられます。
また、最近は電子記録を導入している介護現場も増えてきています。
手書きの介護記録の時は、上手く記録できていたが電子記録に変わり、記録が苦手になる介護士を私は多く見てきました。
パソコン操作が苦手で時間がかかってしまい、記録の量自体が減ってしまうのです。

記録を書く環境の問題

 人手不足も介護記録ができない大きな要因です。
人手不足の事業所は、まず現場を回すことが最優先になります。
その結果、時間が経ってから、わずかな隙間時間で記録することになります。
私も経験ありますが、記録を後回しにすると、以下のようなことが起こります。


・記憶が薄れていることで記録自体が少なくなる。
・記録すること自体を忘れてしまう。


その結果、職員間の情報の共有が難しくなり、ケアの質のバラつきに繋がります。

介護現場の人手不足に関してはこちらの記事でも解説しています。

介護現場の人手不足はなぜ起きるのか?現場から見た理由

「人手不足のしわよせは利用者へ|介護現場で本当に困るのは誰なのか」

 ケア内容の理解の問題

良い介護記録をするにあたり、利用者を把握できていることが前提となります。
ケアの一つ一つには、それを実施するための理由があります。
ケア内容を理解していなければ、「なぜその対応をしたのか」を記録に書くことができません。
オムツ交換を例に挙げると
・尿量が多いので吸収量の多い尿取りパッドを使用する。またはオムツ交換の回数を増やす。
・右側からの尿漏れが多いので尿取りパッドを少し右側寄りにあてる。
など理由があり個別対応をしています。
このように、介護は一人ひとりの状態に合わせた個別ケアです。その理由を理解することで、記録にも具体性が生まれます。
利用者の状態を把握することで記録する内容が濃くなります。

記録の重要性を理解する

 介護記録がそもそも何のためにあるのか理解することが大事です。

 情報共有のため

 利用者ケアにおいて大事なことは職員全員が統一したケアをすることです。
そうすることで利用者は安心して日常を過ごすことができます。
そのために日々の利用者の変化を記録に残す必要があります。
私の経験ですが、記録の不備で情報の共有が上手くいかず、利用者に迷惑をかけてしまったことがあります。

ある利用者の尿量が増えてきたため、尿取りパッドが高吸収のものに変わった。
しかし、申し送りも記録もなく元のものを使用してしまい、尿汚染につながった。

朝から病院で検査のため、朝食は提供しない予定だったが、申し送りや記録がなかったため、いつも通り提供してしまい、検査ができなかった。

といったことがありました。
ほんの一言、記録や申し送りノートに書いてあれば防げたことです。
記録を次の職員が読み、ケアに繋げてまた次の職員へ・・・
介護記録は「切れ目のないケア」の継続のために必要なことです。

自分たちを守るため

介護記録は、時として職員の身を守ることもあります。
介護現場では不慮の事故が起こることがあります。
その中には転倒、誤嚥・誤飲、皮膚剥離など注意していても防げないものも多くあります。
事故が起きた際には、その時にどのような対応をしたのか?事前にどのような対策をしていたのか?の記録こそが大事な証拠となります。
逆に記録が残っていない場合は、事前の対策がちゃんとしていても、施設側の落ち度と捉えられてしまう場合があります。
例として

夜間居室にて転倒された。
 ↓
普段から足腰が弱い人だったか?
センサーマット等の対策をしていたか?
すぐに適切な処置をできたか?

このようなことが記録に残っていることが大切です。
 
「利用者だけでなく自分たちを守る。」
客観的な事実は記録にしかありません。

記録は開示される可能性がある

 介護記録は、本人や家族から開示を求められる場合があります。
記録は職員の情報共有のためのものだと思っている人も多いかもしれません。
上に挙げた事故の例もですが、家族が本人の様子を知りたい時に、記録を見せてほしいということも考えられます。
また、監査・実地指導においては間違いなく記録をチェックされます。

 ・分かりやすい言葉で書かれている。
・丁寧な見やすい字で書かれている。
・専門用語を多く使っていない。
・客観的な事実が書かれている。

 など、誰が見ても分かりやすい記録になっていることが大事です。

記録を書く時のポイント

 介護記録をするにあたって、大事なポイントがあります。
ここでいくつか紹介します。

 5W1Hを意識する

 5W1Hとは
・who(だれが?)
・what(何を?)
・when(いつ?)
・where(どこで?)
・why(なぜ?)
・how(どのように?)

の頭文字をとった言葉です。
これらを意識することで、ポイントを押さえた文章になり読み手にも伝わりやすくなります。
また、記録する際に自分の中でも情報を整理することができます。

事実を書く

 介護記録においては客観的な事実を書くことが大事です。
介護記録をする際に時々、職員が自分の主観や感情を書いてしまうケースもあります。


「〇〇様、お粥ではなくご飯を食べたいとわがままを言われ・・・」
「〇〇様、今日はご家族が来られないためか不機嫌な様子だった」
上記の例は、2つとも職員の主観や感情が入った記録といえます。


同じことを客観的に書くと
「〇〇様、『お粥からご飯に戻してほしい』と希望あり。」
「〇〇様、『今日は息子が面会に来る予定だったけど仕事で来れなくなったらしい』と表情を曇らせながら言われた。」
このように、あくまで本人の発言や様子をそのまま記録することで他の職員もイメージが湧きやすくなります。

定型文を活用する

 利用者に大きな変化がない場合の記録は、定型文を活用すると効率的です。
特に最近の電子記録の場合は、定型文を設定できるものも多くあります。

「〇〇様、〇時、トイレ誘導し排尿あり」

「〇〇様、15時に紅茶〇〇cc飲まれた。」

などあらかじめ設定しておくことで、大幅な時間短縮になります。
ただし、定型文を使いすぎると利用者の大事な情報が抜ける恐れがあるため注意が必要です。
あくまで記録の補助として使うと考えた方がいいでしょう。

介護記録の本来の目的

介護記録は、上手な文章を書くことが目的ではありません。利用者の状態を正確に伝え、次のケアにつなげることが本来の目的です。

そのことが継続して統一したケアを提供できることにつながります。

まとめ

今回は、介護記録をなぜ書けないかについて解説しました。


・書けないのは新人だけではない
・原因は人それぞれ
・記録の意味を理解することが第一歩
・記録のポイントを押さえて書く
・誰が見ても分かりやすい記録にすることが大事

 介護記録は「書く技術」も大事ですが「理解と共有」が本質です。

また、介護記録は利用者だけでなく職員を守るためにも大事なものです。
日々の業務に追われながらもポイントを押さえて、誰が見ても分かりやすい記録を心がけましょう。

コメント