介護職に勉強は必要?|資格取得後も学び続ける理由 

人材育成

はじめに

「介護職に勉強は必要なのか?」

現場で働いていると、ふと考えることがあります。

資格取得のためには、必ず勉強する必要があります。

私自身、介護の仕事を長く続けてきて、資格を取った後こそ勉強が大事と感じています。

今回は、介護職にとっての「勉強」について考えてみます。


介護の勉強には種類がある

私は、介護の勉強には大きく分けて2種類あると考えています。

一つは、資格を取得するための勉強です。

介護福祉士やケアマネジャーなど、資格によって取得までの条件はことなりますが、資格取得を目指すには試験などに向けた勉強が必要になります。

そのため、テキストや問題集を使って独学したり、福祉系の学校などが実施している試験対策講座に参加したりしながら、試験に向けて勉強する必要があります。

そして、もう一つが、介護の現場で活かすための勉強です。

介護職として働くためには、資格試験で学ぶ知識だけでなく、現場で必要となるさまざまな知識や技術を身につけていく必要があります。

例えば、

・認知症ケア
・高齢者の疾病など、医療に関する知識
・急変時や救急時の対応
・コミュニケーションスキル

などがあります。

こうした知識は、実際に利用者と関わり、介護を行う中で「もっと良い方法はないか」「なぜこうなるのだろう」と疑問を持つことで、必要性を実感することもあります。

つまり、資格を取るための勉強と、介護職として成長するための勉強は、必ずしも同じではありません。

そして、どちらも自分の介護の質の向上のためには必要なことなのです。


資格を取った後の勉強

「資格を取れば、もう勉強は必要ない」

資格を取得した人や、これから取得しようとしている人の中には、そう考えている方もいるのではないでしょうか。

私自身、介護の仕事に就いて必要な実務経験を積み、介護福祉士とケアマネジャーの資格を取得しました。

しかし、資格を取るまでは、私もどこかで「資格を取れば一段落」と考えていたように思います。

ところが、実際に資格を取得して現場で仕事を続けていると、分からないことが次々と出てきました。

もちろん、資格取得のために学んだ知識が、現場で役に立たないわけではありません。

ただ、資格試験で学ぶのは、介護に関する幅広い知識の中の一部です。

実際の介護現場では、利用者一人ひとりの状態や生活背景が異なるため、教科書どおりにはいかない場面も少なくありません。

「なぜ、この利用者さんはこういう行動をするのだろう」

「この状態について、もっと詳しく知りたい」

そう考える場面が増えるにつれて、資格を取った後も学び続ける必要性を感じるようになりました。

そこで私は、資格取得後も専門書を読んだり、信頼できる情報を調べたりしながら、少しずつ知識を増やしていく習慣を取り入れるようになりました。

資格取得は、介護の勉強の終わりではありません。

むしろ私にとっては、介護についてさらに学んでいくためのスタートだったのだと思います。


勉強すると見え方が変わる

私が誰かに介護の勉強を勧めるとしたら、その理由として、

「利用者の見え方が変わる」

ことを挙げます。

例えば、ある利用者の食事量が減ったとします。

知識がなければ、

「食べる量が減った」

という現象だけを見てしまうことがあります。

しかし、知識を身につけることで、同じ「食事量が減った」という変化からでも、さまざまな可能性を考えられるようになります。

・食事形態に問題があるのではないか
・口腔内の状態に変化があったのではないか
・抱えている持病が関係しているのではないか
・最近、薬の変更があったことが影響しているのではないか

このように、一つの変化をさまざまな視点から見ることができます。

もちろん、知識があれば必ず原因を見つけられるわけではありません。

しかし、知識が増えることで「何を確認すればよいのか」「誰に相談すればよいのか」を考えるための材料が増えます。

介護の勉強をすること。

それは、単に知識を増やすことではありません。

私は、

「介護に対する解像度を上げること」

だと考えています。

解像度が上がり見えるものが増えれば、考えられる選択肢も増えていきます。

だからこそ、介護職にとって勉強することは、知識を増やすためだけではなく、利用者をより深く見るために必要なのだと私は考えています。

介護職に大事な「観察力」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

→ 介護職に観察力が必要な理由|現役介護士が実例で解説


働きながら勉強することについて

勤務時間外での勉強することの難しさ

ここまで介護職としての勉強の必要性について書いてきました。

しかし、現実問題、

「働きながら勉強すること」

については、とても大変であることも事実です。

私自身は資格取得した時期は、比較的、勉強する時間が多く取れる環境にありました。

しかし、家庭環境により勉強したくても勉強する時間が確保できないこともあります。

また、仕事で疲弊して、勤務時間外はとにかく休息に充てたいという方も少なくないと思います。

介護の勉強は必要です。

しかし、その多くは緊急を要さないものです。

家庭や自身の健康を犠牲にしないように

時間や体調と相談し、自身の環境に合う方法で勉強していくことが大事です。

事業所にも学びやすい環境や雰囲気づくりが必要

理想を言えば、職員が勤務の中で勉強できる機会があることが望ましいと私は考えています。

多くの介護事業所では、職員を対象とした内部研修が行われています。

その中には、法令や制度上、実施が求められている研修もあります。

それ以外にも、事業所独自で研修を企画したり、職員を外部研修へ派遣したりすることもあります。

前の項目でも書いたように、家庭環境や仕事の疲れなどから、勤務時間外に勉強することが難しい職員もいます。

また、勤務時間外に参加を求める研修や勉強については、職員の負担や働き方とのバランスを考える必要があります。

だからこそ、事業所側が職員が必要なことを学べる環境をつくるという視点を持つことが大切なのではないでしょうか。

例えば、

・現在、自分たちの事業所に足りていない知識や技術を内部研修で取り上げる

・職員の能力や適性、今後の役割に応じて適切な外部研修へ派遣する

といった取り組みです。

また、学ぶ環境を作るだけでなく、教える側の姿勢も大切です。

「こんなことも知らないの?」という雰囲気では、職員は質問しにくくなります。

学ぶ側が「分からないことを聞いても大丈夫」と思える環境を作ることも、事業所の役割の一つだと思います。

このように職員個人の努力だけに頼るのではなく、事業所として学ぶ環境を整える。

その積み重ねが、職員の成長だけでなく、事業所全体のケアの質を高めることにもつながるのだと思います。


試験の合否だけが大事なことではない

試験に合格して資格を取得することは、自信にもなりますし、キャリアアップにつながる可能性もあります。

そのため、資格取得を目指して勉強することは、とても素晴らしいことです。

しかし、資格試験では、残念ながら不合格になる人もいます。

だからといって、

「不合格=勉強した時間が無駄」

というわけでは決してありません。

試験に向けて勉強した知識は、合格できなかったとしても自分の中に残ります。

そして、その知識を実際の介護現場で活かすことができれば、勉強したことには十分な意味があります。

一方で、資格に合格したからといって、その後の勉強が必要なくなるわけでもありません。

私は実際に、

「これで勉強しなくてもいい」

「資格手当もついて収入が増える」

と考えてしまい、その後の成長が伸び悩む人も見てきました。

資格取得の勉強は、もちろん合格を目指して行うものです。

しかし、

資格は結果。
勉強は自分の中に残るもの。

私はそう考えています。

学んだ知識を現場で活かし、そこで生まれた疑問を解消するために、また勉強する。

その積み重ねこそが、介護職としての成長につながり、次の資格やキャリアへの土台にもなるのだと思います。


学んだことを実践する

介護の勉強で大切なのは、

「学んだことを実際の介護現場に落とし込むこと」

です。

勉強した後や研修に参加した後にありがちな落とし穴があります。

それは、「勉強して満足した」ことで、その場で終わってしまうことです。

私自身も、本を読んだり外部研修に参加したりした際に、

「いい勉強ができた」

「他の施設は違う取り組みをしていて素晴らしい」

と充実感を得るだけで、学んだことをすぐに現場へ還元できなかったことがあります。

大切なのは、

学ぶ → 実践する → 振り返る → また学ぶ

というサイクルをつくることです。

例えば認知症について学んだのであれば、

「事業所に戻ったら、この声かけの仕方だけは実践してみよう」

と具体的に決め、実際の利用者との関わりの中で試してみます。

そして、

「うまくいったのか?」

「この利用者には合っていたのか?」

と振り返ります。

うまくいかなければ、なぜうまくいかなかったのかを考え、また学ぶ。

こうして学んだことを実践と振り返りにつなげていくことで、知識が単なる「知っていること」から、現場で使える自分の力へと変わっていくのだと思います。


まとめ

ここまで、介護職が勉強することの必要性や、現場で活かすことの大切さを書いてきました。

  • 介護の勉強には「資格取得」と「現場で活かす」の2種類がある。
  • 資格を取得した後も、介護職として学び続けることが大切。
  • 勉強すると利用者を見る視点が増え、介護の解像度が上がる。
  • 働きながらの勉強は、無理をせず自分に合った方法で続けることが大切。
  • 事業所にも、職員が学べる環境をつくる役割がある。
  • 資格試験は合否だけがすべてではなく、学んだ知識そのものに価値がある。
  • 学んだことを実践し、振り返ることで、知識が現場で使える力になる。

介護職に勉強は必要です。
しかし、勉強すること自体が目的ではありません。

学ぶことで利用者を見る視点を増やし、学んだことを現場で実践する。


その繰り返しが、「介護に対する解像度」を上げ、介護職としての成長とケアの質の向上につながっていきます。

これからも、学んだことを現場で試し、振り返りながら、介護職として一緒に成長していきましょう。

コメント