介護職に興味がある人
また、すでに介護職として働いている人の中には、
「自分は介護職に向いているのだろうか」
と不安に思う方もいるでしょう。
介護職に向いている人として、
- 優しい人
- 思いやりがある人
- コミュニケーション能力が高い人
などがよく挙げられます。
もちろんそれらも大切です。
しかし20年以上介護の現場で働いてきた私が感じるのは、介護職に向いている人は決して特別な人ばかりではないということです。
この記事では、私が現場で感じた介護職の適性についてお伝えします。
一般的に介護職に向いていると言われる人
思いやりがある人
介護職においては相手を思いやる気持ちが大切です。
介護サービスを利用される高齢者は、何らかの不自由を抱えている方たちです。
相手の気持ちになって考えることで、適切な対応ができ、利用者と良い関係を築くことができます。
人と関わることが嫌いではない人
介護職は多くの高齢者に関わる仕事です。
また、職員間でこまめに連携をとる必要があります。
大規模な施設では、それこそたくさんの職員、利用者と関わりながら仕事をします。
コミュニケーションを図ることが苦でなければ、それだけで、介護職向きといえるでしょう。
学ぶ姿勢がある人
介護の現場では学ぶ姿勢のある人が重宝されます。
介護の仕事をするにはたくさんの知識や技術が必要です。
長く介護職を続けていくと、介護の知識だけでなく、医療や介護保険の知識が必要となる場面もあります。
また、介護職は常に人手不足であるため、新人職員も早く一人前に育ってほしいと感じています。
分からないことは自分から率先して先輩職員に聞いたり、常に自己研鑽に励む人は、周囲からの信頼を得やすいものです。
私が現場で感じる「意外な強み」
私はこれまで介護の仕事をする中でたくさんの職員に関わってきました。
その中には、上に挙げたような特徴とは別の、自分なりの強みを活かして、長く介護職を続けている職員もいました。
家事が得意な人
介護職の仕事内容は身体介助だけではありません。
施設にもよりますが、洗濯や掃除、食器洗い、施設内の整理整頓などの生活援助も介護士の仕事の中にあります。
特にグループホームなどの小規模施設ほど、職員がその全てを行うケースが多くみられます。
自宅での家事が苦にならない人や得意な人は、そういった施設では活躍する場面が多くやってくるでしょう。
→グループホームについて詳しい説明はこちら
グループホームとはどんな施設?仕事内容・メリット・デメリットを現役介護士が解説
祖父母と同居経験のある人
高齢者と同居した経験のある人、特に祖父母と小さい頃から一緒に過ごしてきた人も介護職に向いている可能性があります。
まず、祖父母と長く生活することで、高齢者との会話に慣れています。
高齢者の話題として、昔の遊びや昔の歌、戦争の話など、自然と話題を広げることができ、コミュニケーションを図ることができます。
また、加齢に伴う変化を目にしているため、利用者の身体状況の変化や認知症の症状が出た場合も冷静に捉えることができます。
場合によっては、在宅での介護にも携わっている場合もあるため、それだけで他の人より一歩進んでいるといえます。
「名前のない家事」に気付ける人
細かな部分に気付く人についても、介護職向きです。
「名前のない家事」という言葉をみなさんご存知かと思います。
料理や洗濯、掃除などの家事と違い、生活する上で必要だが細々として名前のついていない家事のことです。
例として
・歯磨き粉がなくなりかけたら次のを準備しておく。
・ゴミを出したら、ゴミ箱に袋をセットする。
・トイレットペーパーが切れたので交換する。
などです。
このようなことに、すぐ気づいてくれる職員がいると介護現場では本当に助かります。
ただでさえ忙しい現場で、物品がなくなりそうな時に、二度手間にならないように先回りして準備してくれたりします。
しかし、こういった職員が活きるのは生活援助業務だけではありません。
私の経験上ですが、この「名前のない家事」に気付くことのできる職員は利用者の変化にも敏感だったと記憶しています。
常日頃から、あらゆる細かなことを観察する習慣が身についているのだと思います。
物静かな人
意外にも思われるかもしれませんが、物静かな人も介護職に向いている可能性があります。
一般的には、積極的にコミュニケーションをとったり冗談を言って人を笑わせたりする人の方が向いてそうです。
しかし、物静かな人の中には相手の話をじっくり聞くことのできる人も多くいます。
人は元来、とにかく自分の話を相手に聞いてほしいものです。
利用者の話をじっくり聞けることも、介護職をするうえで大きな長所といえるでしょう。
マニュアルを大切にできる人
介護の仕事は多くのマニュアルがあります。
マニュアルを守れる人は基本的なことをしっかりとこなすことができるように感じます。
緊急時の対応や感染症発生時にもマニュアルが頭に入っている方が冷静に対応できます。
介護の現場では「臨機応変に動いてほしい」という声が多く聞かれます。
しかし、基本をしっかり学んでいるからこそ、変化を感じ取り、臨機応変な対応が出来るのだと思います。
基本が身についていない場合の「臨機応変」は勝手な自己判断やその場しのぎである場合も少なくありません。
また毎日、基本を守り同じやり方で仕事をするからこそ、入居者の日々の変化に気づきやすくなるのだと感じます。
黙々と仕事を進められる人
これも意外に思われるかもしれません。
記事の最初の方で「介護職に向く人」の特徴として「人と関わることが嫌いではない人」と相反しているようにみえます。
介護の仕事では
・コミュニケーションを取ることが大切
・職員間の報連相が大事
・常に明るく元気に
といったことが良いこととされています。
もちろん、間違いではありません。
しかし、場所が変わればこの特徴が活きることもあります。
例えばユニット型の施設では、一つのユニットを長い時間一人で担当することも多いです。
私がこれまで関わった職員では
・黙々と業務をこなし、抜けがない
・急な仕事の依頼を嫌な顔することなく引き受けてくれる
このような職員もいます。私も何人か関わった経験があります。
このように、どちらかといえば大人しめな性格の職員も周囲から信頼を得ていることが多いです。
このタイプの人は少人数での職場の方が活躍しやすいのかもしれません。
短所だと思っていることが強みになることもある
「こんな短所があるから自分には介護向いてない」と考える人も多いかと思います。
ただ、一見短所に見える場合でも見方を変えればそれが強みになる場合もあります。
私が過去に関わった職員で印象に残っている人がいます。
私が印象に残っている職員
あるベテラン職員の話です。
その職員は特にオムツ交換に時間がかかっていました。
その際に夜勤では他の夜勤者の負担になることもあったほどです。
しかし、その職員は決して動作が緩慢なわけではありませんでした。
よく観察すると
・皮膚観察
・体位交換
・利用者への声掛け
いずれも、どの職員よりも丁寧に行なっていました。
また他の身体介助についても、口腔ケア、入浴なども同様に丁寧でした。
また、記録についてもその丁寧さが表れていました。
利用者の発言や表情、その時の状態などこと細かく記録されていたのです。
また、仕事のスピードに対しての周囲の評価に反して、利用者からは信頼を得ている声も多く聞けました。
人を見る視点は一つではない
仕事が早いことは大切です。
昨今の介護職の人手不足において、仕事のスピード感や効率が以前よりも重要視されてきています。
しかし介護では丁寧さや観察力も同じくらい大切です。
「それでは現場がまわらなくなる」
といった声も挙がりそうですが、業務スケジュールやシフトの調整で解決できる場合もあります。
そして、そのような職員がいないと、施設全体の「介護の質」自体が落ちてしまう恐れがあります。
一つの例でしたが、このように一見短所に見えることが、実は強みになっていることもあります。
私が20年以上働いて感じること
私が見てきた介護職員は本当に様々でした。
明るく話し上手な人もいれば物静かな人もいました。
介護技術はそこそこだけど家事が得意な人もいました。
どの人にも強みがあり、それぞれのやり方で利用者を支えていました。
だから私は介護職の向き不向きを難しく考えすぎる必要はないと思っています。
誰にでも強みはあると思います。それは上に書いた以外にもたくさんあるはずです。
一般的に言われている強みをみて
「自分は介護に向いてないかも」
と決めつけず、一度自分の強みやそれを活かせる環境について考えてみてはいかがでしょうか。
介護職に向いていない人はいるのか?
ここまで介護職に向いている人について書いてきましたが、私は介護職に向いていない人はそれほど多くないと感じています。
ただし、
・高齢者と関わること自体が強い苦痛になる
・利用者を尊重する気持ちを持てない
・チームで協力して働くことを極端に嫌う
・極度の潔癖症である
このような場合は介護職を続けることが難しいかもしれません。
しかし、それ以外の部分については、短所だと思っていることが実は強みになることもあります。
まとめ
これまで介護士に向いている人・向いていない人について説明してきました。
- 一般的に言われる適性はある
- しかし介護職に向いている人は一種類ではない
- 家事や掃除など日常の経験が活きることもある
- 短所だと思っていることが強みになる場合もある
- 自分の強みを活かせる環境を見つけることが大切
世間では普通のことと思われている経験が、介護現場では強みになる場合もあります。
介護に向いている人は「特別な人」ではありません。
あなたの強みを活かせる介護の現場はきっとあるはずです。


コメント