はじめに
介護現場では多くの業務があります。
身体介護や生活援助業務、介護記録、レク活動の準備や実施など多岐にわたります。
しかし、何らかの原因で仕事が抜けてしまうことがあります。
これは新人職員に限ったことではなくベテランでも起こります。
原因を深掘りすると単なる個人の問題だけではないと感じるようになりました。
今回の記事では介護現場の仕事が抜ける原因について考えていきます。
人手不足による業務負担の増加
仕事の抜けの原因の一つに人手不足が挙げられます。
介護現場は全国的に人手不足が問題となっています。
事業所によっては定数ギリギリで回しているところもあります。
また、コール対応、利用者の体調不良や急な家族対応などがあり、本来必要な仕事が後回しになり、その結果として仕事の抜けが起きてしまいます。
介護現場の人手不足について詳しくはこちらの記事での解説しています。
センサーが増えることの弊害
センサーの使用者が増えることで仕事の抜けが発生することもあります。
近年、介護現場では事故防止のためのセンサーマットが活用されることが増えました。
しかし、センサー使用者が多い場合には、業務を一度中断して再開の流れを何回も繰り返すことになります。
業務を一度中断して再開する際に、
「どこまでやったか」
が分からなくなることがあります。
また、私も経験がありますが、センサーがあまりにも頻回になると
「また鳴ってるな、あとで行こう」
という思考になりがちで、センサー対応自体が抜けてしまうことがあります。
センサーの使用については、本当に必要か定期的に見直し、適切に運用していくことが大切だと感じます。
業務の見直しが仕事の抜けの原因になる
業務の変更も仕事の抜けが起きやすい原因の一つといえます。
忙しい介護現場では特に業務内容の見直しが頻繁に行われます。
私の経験では、退職者が出た場合や責任者の交代のタイミングでシフト内容を変更することが多かったです。
・オムツ交換の時間が何人か変更になった
・入浴者のグループの変更
・新しい勤務時間ができた
・雑務の割り当てが変更になった
など、場合によっては一度にたくさんのことが変更されることもあります。
仕事の抜けを防ぐためには、とにかく職員同士で声掛けをしたり、細かなスケジュール表を作成し、確認しながら業務にあたることが大切です。
経験の差による仕事の抜け
介護現場では新人職員や経験の浅い職員が独り立ちした直後に仕事の抜けが発生することがあります。
これは本人の努力不足だけではありません。
介護現場は覚えるべきことが多く、利用者ごとのケアの違いもあります。
また、新人職員は「何が分からないのか分からない状態」であることも少なくありません。
そのため、独り立ちした後も先輩職員によるフォローや確認が必要です。
私は仕事の抜けが発生した時に本人だけを責めるのではなく、
「教育は十分だったか」
「相談しやすい環境だったか」
という視点も大切だと考えています。
新人教育について詳しくはこちらの記事で解説しています。
理解度不足が仕事の抜けの原因にもなる
仕事の抜けは、その業務の必要性を十分理解できていない場合にも起こりやすいと感じます。
・この方は背中に保湿剤を塗らなければいけない。なぜなら肌が乾燥しやすいから
・オムツがたくさん尿が取れるものに変更になった。なぜなら最近、尿量が増えたから。
・この方は食事形態がお粥と刻み食になった。
なぜなら嚥下状態が悪くなったから。
一例ですが、上記の「なぜなら」の部分の重要性を理解していない時に仕事が抜けがちになります。
これは職員の理解力が足りないことだけが原因ではありません。
利用者対応で変更があった場合には、きちんとその理由まで説明することが大切だと考えます。
「意識の問題」で終わらせてはいけない
仕事の抜けが起きた時、介護現場では
「意識が足りない」 「責任感を持ってほしい」
という言葉が使われることがあります。
確かに仕事に対する責任感は大切です。 しかし、私は「意識の問題」の一言だけで片付けてしまうことには疑問を感じています。
例えば、新人職員に
「もっと意識を持って」
と伝えたとしても、それだけで仕事の抜けがなくなるわけではありません。
仕事をする中での失敗や反省を繰り返し、成功体験を積むことが大切です。
「この確認を怠ると事故につながる」
「この記録が次の職員の理解につながる」
こういった経験を積ませることで、意識が高くなり、結果として仕事の抜けを減らせるのだと思います。
人間関係が仕事の抜けにつながることもある
職場の人間関係が仕事の抜けに繋がるケースもあります。
介護現場では人間関係に悩む職員も少なくありません。
職場全体がピリピリしている雰囲気では、質問もしづらいことがあります。
また、先輩や上司から過度な注意があった場合には必要以上に萎縮してしまいます。
そのような環境で報告・連絡が少なくなってくると、情報の共有が出来ずに
「私は知らなかった」
「そのことは何も申し送りありませんでした」
という状況になり結果仕事の抜けの原因になっていきます。
行き過ぎた指導をしないこと、適切な助言をすることの方が建設的といえますし、仕事の抜けを防ぐことにつながっていきます。
介護現場の人間関係について詳しくはこちら
→介護職の人間関係がつらい理由|現役介護士が実践する対処法を解説
チェック表の多さも仕事の抜けの原因になる
チェック表が多い場合に仕事が抜けることもありがちです。
介護現場では、必ずやらなければならない仕事に対してチェック表を設けます。
一般的には排泄チェック、服薬チェック、食事量のチェック、入浴チェックなどです。
事業所によっては、さらに細かくチェックを作ることがあります。
・利用者個人の塗り薬
・センサーマットの作動
・雑務一つずつに対して
など様々です。
チェック自体が不要なわけではありません。
しかし数が増えすぎると、ただでさえ忙しい介護現場ではチェックすることが目的となり、本来すべきだったことが抜けることがあります。
この結果
「チェックにはついているけど、実際には実施できていない」
といったことも起こります。
業務のチェックについては時期を決めて見直しをし、本当に必要なものだけを残すことが緊張感を保つためにも大切なことといえます。
私が考える仕事の抜けを減らす方法
仕事の抜けは誰にでもあります。
原因は上記のように多岐にわたります。
ひょっとしたら上記とは別の問題もたくさんあるかもしれません。
私は仕事の抜けを防ぐために必要なのは、単に意識を求めることではなく、
・仕事の意味を伝えること
・経験を積める環境を作ること
・相談しやすい職場を作ること
だと考えています。
「意識の問題」という言葉は便利ですが、その言葉だけでは根本的な解決にはつながりません。
なぜその仕事が抜けたのか。
教育や仕組み、職場環境にも目を向けることが大切だと感じています。
仕事の抜けを個人の責任だけで考えるのではなく、現場全体の課題として考えることが再発防止につながるのではないでしょうか。
まとめ
今回は介護現場での仕事の抜けが起こる原因について解説しました。
・仕事の抜けは個人だけの問題ではない
・環境、教育、仕組み、人間関係が影響している
・チェック表の多さも仕事の抜けの原因となる
・「意識の問題」で片付けず原因を考えること、良い雰囲気を作ることも大切
仕事の抜ける原因は様々です。
仕事の抜けが起きた時は、何が原因だったのかを一つずつ検証することが大切です。
抜けのない仕事をしてより良いケアを提供していきましょう。


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