「特養は本当にきつい…」
介護職の中でも、特別養護老人ホーム(特養)は大変という声をよく耳にします。
私自身、療養型医療施設・グループホームなど複数の施設を経験してきましたが、特養は特養での大変さを感じています。
実際に働いてみると重度介護者の対応や認知症の方の対応、看取りなど心身ともに負担を感じる場面は少なくありません。
この記事では、特養が「つらい」「きつい」と言われる理由について、実際の現場経験をもとに解説します。
また、特養で働くメリットや、少しでも心身の負担を減らす考え方についても紹介していきます。
特養がつらいと言われる主な理由
身体介助の負担が大きい
特養は原則、要介護3以上の方が入居対象となります。他の施設と比べ介護度が高い方が多く入居されておられます。
要介護5の方も多くおられ、排泄や移乗入浴など二人介助でないと対応できない場面も多くあります。そのため職員の足腰には大きな負担がかかります。実際に私の周囲でも、足腰の痛みに悩みながら働いている職員は多くいます。
夜勤の負担が大きい
私が特に特養のきつさを感じるのは夜勤です。
特養の夜勤は、少人数で多くの入居者の対応をします。
ユニット型の特養では2つのユニット(約20名)を一人で対応する施設が珍しくありません。
夜間はコール対応やオムツ交換、センサー対応、不眠の方の対応など重なることがあります。
休憩中の職員がいる場合、その時間はさらに人手が少なくなります。コール対応や失禁の対応などが重なるとあせって事故につながる危険性もあります。
特に転倒リスクの高い入居者がいる場合は大きなプレッシャーを感じます。
「早くいかなければ」
「どちらを優先しよう」
と判断に迷いパニックになりそうなこともあります。
私が夜勤で特に負担に感じるのは急変時の対応です。特養では他の種別の施設に比べ重度の方が多く、夜間に急変する場合もあります。
夜勤に入る日は「今日は状態が悪い方はいないだろうか?」を考えてしまうことも少なくありません。
人手不足になりやすい
介護業界全体で人手不足が問題になっていますが特養も例外ではありません。
人手不足になる一つの例として
ある職員が退職し、残った職員がその分をカバーすることになります。しかし職員の補充が追い付かない場合、今度は残った職員も限界がきて退職に至る場合があります。
このような悪循環に陥るケースも珍しくありません。
こうなってしまうと大変です。このあと人員の補充があったとしても新人が一人前になるまでに時間がかかります。また指導が不十分なことにより、せっかく入職した職員がすぐにやめてしまうケースもあります。
看取りがつらい
特養の入居者は「終の棲家」として入居される方がほとんどです。
職員も人間ですので入居者に対し思い入れが強くなることもあります。
その入居者が最期を迎えた場合の喪失感は計り知れないものがあります。看取りを経験するたびに精神的な負担が積み重なり、特養で働くことにつらさを感じる職員もいます。
私自身も長く関わった入居者が最後を迎えた時は大きな喪失感を覚えました。
人間関係がつらい
介護職の大きな悩みのひとつに、人間関係があります。
特養は人手不足になりやすく、職員は常に忙しい状況で働いています。
そのため心に余裕がなくなり、同僚への配慮が十分にできなくなることもあります。
結果として、
- 言葉がきつくなる
- 情報共有が不足する
- 職員同士のすれ違いが増える
など、人間関係の悪化につながる場合があります。
私自身、これまで複数の施設で働いてきましたが、人間関係が悪い原因は特定の職員だけにあるケースはそれほど多くないと感じています。
むしろ、
人手不足や業務負担の大きさによって職場全体に余裕がなくなり、その結果として人間関係が悪化しているケースの方が多いように感じます。
特養で働いて良かったと感じること
介護技術が身につきやすい
特養は介護技術を身につけたい方にとって成長しやすい環境です。
特養では重度の方が多く、身体介助にかかわる機会も自然に増えます。
片麻痺の方、重度の寝たきりの方、認知症の方など様々なケースに対応することで介護技術や観察力が身についていきます。
私自身、他施設では経験できなかったケースを多く学ぶことができています。
やりがいを感じる場面も多い
私が特養でやりがいを感じるのは、やはり入居者から直接、感謝の言葉をいただいたときです。忙しい中でも、一言「ありがとう」と言ってもらえるとこれまでの苦労が報われた気持ちになります。
また重度の方が多い特養の中で、心身の状態が改善した時もやりがいを感じます。
生活リハビリや日々の声掛けで「短距離だけど歩くことができた」、「ほとんどしゃべらない方から言葉を引き出せた」という変化が見られたときは、本当にうれしい気持ちになります。思わず万歳したいほどの達成感を感じることもあります。
特養のつらさを減らすために大切なこと
一人で抱え込みすぎない
特養で働く上で大切なことは一人で悩みを抱えすぎないことです。
これは介護士に限ったことではありませんが、まじめで責任感の強い人ほど一人で抱えてしまう傾向にあります。しかし、介護現場の悩みは一人で考えて解決できるものばかりではありません。
介護士としての悩みは誰かに相談することで気持ちが楽になったり新しい考え方が見つかったりすることがあります。
私自身も介護の悩みについては「相談するならこの人」と決めています。
すぐに解決できない問題でも話すだけでも気が楽になるものです。
私自身が過去に介護現場の責任者を経験して感じたのは、悩みを話してくれる職員の方が長く働き続けてくれたことです。
夜勤対策を工夫する
夜勤前の時間や休憩時間の過ごし方を工夫することで、身体的・精神的な負担を軽減できる場合があります。
夜勤がつらいと感じている方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
合わない職場なら環境を変える選択もある
これまで紹介した方法を試しても特養で働くつらさが軽減できない場合は、環境を変えることも一つの選択肢です。
介護の仕事は特養だけではありません。グループホーム、デイサービス、訪問介護など施設ごとに仕事内容や求められる役割が違います。
現在の法人内で異動の希望を出す方法もありますし、転職によって自分に合う職場を探す方法もあります。
私自身、複数の形態の施設を経験しましたが、施設によって働きやすさや求められるスキルは大きく異なると感じています。
無理を続ける前に「今の環境が自分に合っているか」を見直すことも大切です。
まとめ
特養がつらいと言われる理由には、
- 身体的負担
- 夜勤の大変さ
- 人手不足
- 人間関係
など、さまざまな要因があります。
私自身も、特養で働く中で大変さを感じたことは何度もありました。
ただ、その一方で、入居者とのかかわり、介護技術の向上など、特養ならではのやりがいや魅力もあります。
まずは周囲に相談したり、働き方を見直しながら自分に合った方法を探してみてください。
そして、どうしても改善が難しい場合は、異動や転職を含めて環境を見直すことも大切な選択肢の一つです。


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