ユニットケアとは?|ユニットリーダー研修で学んだ大切な考え方

介護の本質

はじめに

この記事を書いている時点で、私はユニット型特養のユニットリーダーになり、丸3ヶ月が経とうとしています。

今回はユニットケアの概要やユニットリーダーの研修を受けて感じたことを書いていきます。

今、ユニット型の施設で働いている方、ユニットリーダーの方など参考になればと思います。


ユニットケアとは何か

ユニットケアの目的

ユニットケアとは、施設に入居してもその人らしく、これまでの生活を続けられるように支援するケアの方法です。

家庭的な雰囲気の中、少人数のグループ(10名前後)で生活していただきます。

それぞれの入居者の生活リズムに合わせて個別ケアを受けます。

ユニットケアとは、環境だけでなく、一人ひとりの暮らしや価値観を尊重し、その人らしい生活を支えるための考え方です。


研修で感じたユニットケア

ユニットリーダーの研修は座学での研修後に各地域の実施施設において実施研修が行われます。

私は3日間、その実施施設の研修にて、ユニットケアについて学びました。

そのことについて書きたいと思います。

家庭らしい雰囲気が自然に作られている

研修ではある一つのユニットで3日間、入居者の生活の様子を見させていただきました。

居室の様子

居室内には、自宅から持ち込まれた、タンスや、テーブル、イスなどの家具がありました。

また、それぞれの居室では、家具の配置や持ち込みの家具、インテリアなど全く雰囲気が異なっていました。

職員さんの話では

「入っただけで誰の居室か分かる」

くらいに、それぞれ違いがあるとのことです。

居室に実際に入った際には、

「その人の自宅にお邪魔している」

感覚になりました。

家具やインテリアからもその人の歩んできた人生が滲み出ているように感じました。

職員の服装

職員さんは制服ではなく、それぞれ動きやすい私服で勤務していました。

家庭的な雰囲気を出すためにそのようにしているとのことです。

私服だからといって職員らしさが失われることはなく、むしろ入居者との距離が近く感じられました。「介護をする人」と「介護を受ける人」という関係よりも、一緒に生活する人という雰囲気が印象的でした。

食事をする環境

食事の際に使用する食器類は、入居時に各家庭から自分の使っていたものを持ち込み、それを使って食事をされていました。

また、リビングの各テーブルには、調味料やふりかけ、梅干しや漬物などが入った瓶が置かれていました。

施設では栄養面や健康面を考え、普通そのような物は置いてはならないと考えがちです。

しかし、

「本当に健康に影響がある人はどのくらいの割合はどのくらいいる?」

と考えた時に、ほとんどいなかったため、一般家庭と同じように、置いているとのことです。

私はこれまで、施設の食事といえば「栄養バランスを考え、安全な形で提供する物」という認識でした。

しかし、その施設では

「どうしたら自宅と同じように食生活を楽しめるか?」

という視点で考えていました。

「その人らしい生活」

という考え方がここでも感じられます。


利用者目線の環境づくり

ユニット内の掲示物

ユニット内ではカレンダーや行事のお知らせなどの掲示物がありました。

それらの物は、高さがかなり低めに掲示されていました。

車椅子の入居者が見た時に、ちょうど良い高さになるように、そのように掲示されているのです。

私自身も椅子に座った際に、掲示物を見た際には、とても見やすく感じました。

入居者が落ち着ける空間

ユニットの環境面で一番驚いたことは、意図的に

「死角になる場所」

を作っていることです。

ユニット内の端の方で家具やスクリーンなどで間仕切りされた小スペースがありました。

そこでは、ソファやテーブルなどが設置されており、入居者がくつろげるようになっているのです。

職員からすれば、死角になっているため、意図的にその場所に行かなければ、入居者の様子は分かりません。

もちろん、動きの多い入居者の場合は、近くで職員が見守ることもあるようですが、付きっきりということでもないようです。

入居者が落ち着ける空間として、そういった場所が設けられているとのことでした。

このことが、この実施研修である意味、一番ショックだったと言ってもいいかもしれません。

私は施設勤務で、これまでどのようにして

「施設内の死角をなくすか?」

についてばかり考えてきたからです。

頭の中には、事故防止の考え方が一番にあり、入居者が落ち着いて過ごせることは二の次になっていました。

施設入居者は多かれ少なかれ「他者から見られ続けられる苦痛」を感じています。

この苦痛から解放されることも、その人らしく生活を送ることにつながるのだと感じました。


ユニットリーダーは考え方をぶらさない

この研修を通して一番印象に残ったことであり、ユニットケアを行う上で最も大切だと感じたことがあります。

それは、

「ユニットリーダーの考えがブレてはいけない」

ということです。

研修中、何人かのユニットリーダーと話をさせていただきました。
どのユニットリーダーも、ユニットケアの考え方や施設の理念を深く理解し、それぞれの方法で職員に浸透させようと努力していました。

実際に今の形になるまでには、少しずつ改善を積み重ね、何年もかけて現在のユニットケアを築いてきたそうです。
一方で、その理念に共感できず、途中で退職した職員もいたと聞きました。

私はこの話を聞いて、ユニットケアは設備や仕組みだけで成り立つものではなく、リーダーの考え方が土台になるのだと強く感じました。

そして同時に、これは自分自身や自施設の課題でもあると感じています。

職員の退職や入居者の入れ替わりなどがあると、業務を見直す機会があります。
しかし、その時にいつの間にか職員都合の考え方になり、入居者の視点が薄れてしまうことがありました。

本来であれば、まず考えるべきことは、

「入居者がその人らしく生活できているか。」

「その生活を実現するために、私たちは何を変えるべきか。」

ではないでしょうか。

この研修を受けたことで、何かを変える時の判断基準は、職員の都合ではなく「入居者主体になっているか」でなければならないと改めて感じました。
今後、私自身もユニットリーダーとして、この考え方だけはブレずに持ち続けたいと思います。


理想をそのまま取り入れることは難しい

現場にはそれぞれ事情がある

ここまで、実施研修で学んだことや感じたことを書いてきました。

本来であれば実施研修で学んだことを自分の働いている施設に全て取り入れたいのが本音ですが、現実はそうもいかない事情もあります。

ハード面

建物の広さや構造も、そのまま取り入れられない理由の一つです。

例えば「死角となる場所」を作るには、どうしても、相応のスペースが必要となります。

自施設では、そのスペースを確保するのは難しいと感じました。

施設の理念・方針

自分の施設でも、理念やこれまでの経緯があります。

例えば職員の服装についてです。

自施設は制服となっています。

これを急に「明日から私服にしましょう」というわけにもいきません。

制服着用にも意味があります。

一目見て職員と分かることや、気持ちの面で仕事としてのメリハリがつくことが制服の良さだと思います。

職員配置

職員は本来ならユニット固定が望ましいですが、自施設では、他のユニットの勤務になることもあります。

これは夜勤の際は少人数でみるため、他のユニットを把握しておく必要があるからです。


大切なのは考え方を取り入れること

実施研修で学んだことを全て取り入れることは難しいと書きました。

しかし、小さなことから一つずつ改善できることはあります。

例えば掲示物の高さについては、入居者の目線に合わせて、掲示することはすぐに実施しました。

また、居室に馴染みの物を入れることについても、担当のご家族と連絡を取り、少しずつ「本人らしい居室」になっている方もいます。

私は実施研修で学んだことは、ハード面やシステムを変えることではなく、その考え方を取り入れることが、大事だと感じました。

「その人らしく過ごしてもらうには」

このことを考え続けて、利用者の生活に合わせた施設を作っていくこと。

それこそがユニットケアの本質だと思います。


私がこれから取り組みたいこと

現在も少しずつユニットケアの考え方を取り入れていますが、今後も継続して取り組んでいこうと考えています。

24シートの作成

ユニットケアをする上で、役立つツールとして、24シートというものがあります。

24シートとは、利用者一人ひとりの24時間の生活リズムや習慣、希望、心身の状態を時間軸で整理し、その人らしい暮らしを実現するためのアセスメントツールです。

最初の作成には手間がかかりますが、これがあることで職員間で情報共有しやすくなり、ケアの統一がしやすくなります。

入居者が落ち着いて過ごせる空間づくり

入居者が長く過ごすことになるリビングをもっと過ごしやすい環境にしたいと考えています。

例えばリビングの席やソファを置く位置など現在は職員の介助しやすさが優先されています。

スペースの都合上、制限はありますが入居者の快適さと介助のしやすさのバランスを考えながら実施していきたいです。


ユニットケアは終わりがない

私は今回の研修であらためて入居者と向き合うことの大切さを実感しました。

「ユニットケア」は完成するものではないと感じています。それは介護業務全般にも言えることです。

日々、時間が流れる中で入居者の状態は変わります。

職員も変わっていきます。

施設のハード面も変わります。

だからこそ、我々介護士も介護について考え続け変化する必要があるのではないでしょうか。

「ケアについて考え続けること」

ユニットケアや施設ケアの本質を忘れないように日々、入居者の支援

にあたりたいものです。


私自身のユニットリーダーとしての成長

私自身、ユニットリーダーとしてはまだ経験は浅く、分からないことも多くあります。

しかし、研修で学んだことを一つずつ現場で実践し、その結果や気づきをこのブログでも発信していきたいと思います。

成功したことだけでなく、うまくいかなかったことも含めて共有することで、同じように悩む介護職の方の参考になれば幸いです。


まとめ

今回はユニットケアの考え方や実施研修で得たことを書いてきました。

  • ユニットケアは利用者主体の考え方
  • 研修で多くの学びがあった
  • 全てを取り入れることは難しい
  • それでも考え方は取り入れられる
  • 小さな改善の積み重ねがユニットケアにつながる

ユニットケアは短期間で出来るものではありません。

本人らしく過ごせる環境をいかに作るのか、考え続けることが大事です。

出来ることを少しずつ取り入れながら、一緒に入居者主体の施設づくりに励みましょう。

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